スウェーデンハウス北海道支社スウェーデンハウス北海道支社

スウェーデンコラム「瑞筆」

第3回 2005年 夏期スウェーデン語講座(中上級)/高津雅子さん

ヨーテボリの北 ショーン島にて

初級講習に参加してから10年。あの時の楽しさが忘れられず、またさらにスウェーデン語をレベルアップするためにこの機会を待っていました。
今度の参加地はスウェーデン西海岸の都市ヨーテボリ近く。ストックホルム群島と並んで夏の避暑地として人気のショーンという島の国民高等学校です。ヨーテボリからはバスで1時間ほど。
前回との違いは、私自身についてはスウェーデン語を話す経験を積んで語彙が増えていること。講座の状況ではレベルが上がったことでお互いにスウェーデン語での意思の疎通ができること。マイナス要因は10歳年をとっていて体力に不安があること。 
今回は講座の中でスウェーデン語以外の外国語が飛び交うことはあまり見られませんでした。ただ、ロシア・東欧圏のEU接近が如実に反映されて、その地域からの参加者がとても多いのです。なぜかロシアからはスタイル抜群の美女参加者がほどんどで、一部では写真選考があったんだと冗談を言われました。スウェーデン語学習意欲はあまり強くなくて、お互いにロシア語ばかり話していました。スウェーデンに結婚相手を探しに来たんだ・・そんな噂も聞こえました。参加者の国籍は次の通りです。
ポーランド4 ベラルーシ3 ベルギー1 スペイン1 ユーゴスラビア2 モルドバ1 ドイツ5 メキシコ1
エストニア2 ロシア8 グルジア1 チェコ2 日本1 韓国1 ブルガリア2 セルビア1 リトアニア1 イギリス1

7月19日(火)講習が始まり、3つのグループにランダムに分けられました。自己紹介の後、さっそくジュニア小説のポケットブックが配られ土曜日までに61ページまで読むという宿題がでました。午後はショーンの島巡り観光。
これから毎日授業と宿題、午後からはスウェーデンを知るための観光や講演、夜9時からは映画上映で期間中に最低5つの映画について感想を書くという宿題がありました。

10年前と同じ様になかなかきついスケジュールではあるけれど、今回は先生の指示がほとんど聞き取れ、なんとか宿題課題もできそうな気がします。
他の講習参加者は10年前より自分と年が近い人が多く、気分的に楽でした。ベルギーとドイツのおばちゃんはEUの会議通訳で高度なスウェーデン語を身につけるために参加しています。わたしと3人のおばちゃんトリオで自由時間はサイクリングや海岸歩きを楽しみました。寮にいるときはスペインとメキシコの陽気な仲間とキッチンでしゃべったり音楽を聴いて過ごしました。

10年前との一番の違いはインターネットの助けが得られることでした。10年前にもパソコンルームがあってスウェーデン語学習ソフトで勉強する事ができましたが、インターネットに接続する事はできませんでした。今回は学校に着いた日からネットに接続してヤフーメールを書き、ネットで日本の新聞を読み、掲示板への書き込みもローマ字でできました。
これで日本と連絡が取れる安心感と、調べ物ができる便利さが得られました。
そしてネットでスウェーデン国内の鉄道切符を予約、クレジットカードで購入し寮に郵送してもらい切符を受け取る事までできました。
なんて便利な世の中でしょうか。学校を離れてからも、ユースホステルでも駅の構内でも有料でネット接続できるパソコンがあり、先の旅程の調べものや日本との連絡が取れました。

たった10年で世の中が変わったと思う一方で、帰国してから考えさせられることもありました。
札幌で「善き人のためのソナタ」というドイツ映画を見ました。東西冷戦下の東ベルリンで反体制的と見られていた劇作家が自宅を四六時中盗聴されている。その恋人の舞台女優は政府の高官に圧力をかけられ愛人にさせられている。その時代は1984年。今からたった23年前のこと。 となると講習で一緒になった東欧や旧ソ連圏からの友人たちはその頃の抑圧された時代の空気を知っているのかもしれません。世界にはいまだに自由に生き、思うことを発言できない国も存在するのです。
スウェーデンはボスニア、イラクなど世界の紛争地域からの移民を受け入れています。崩壊後のソ連、東欧からの参加学生へは、この講座では奨学金を出しています。国民の16%以上が移民からスウェーデン国民になった人たちだという。そのことをこの講座でも10年前の講座でも国の政策の一つとして私たちに伝えられています。スウェーデン大使館の広報文にも明記してあります。
外交の陰には目に見えない利害関係ややりとりがあるとは思いつつ、胸を張って「我が国は世界のためにこれをしています!」と堂々と主張するスウェーデンがまぶしく見えます。日本がどれだけ巨額の予算を海外援助に拠出しているかを言いたいけれど、「でも移民を受け入れないじゃないか!」そう言われるとシュンとして引き下がるしかありません。
この講座に参加すると、いつも自分の国について改めて考えることになるのです。

次回は、「観光で訪ねる北欧 旅のヒント」です。

コラム:バックナンバー

Columnist Profile
高津雅子さん
北海道出身。1957年生まれ。 北海道大学教育学部で発達心理学を専攻。エトワール海渡(株)勤務後結婚。
1993年から横浜朝日カルチャーでスウェーデン語講座を受講する。
1995年 SI(Svenska Institutet):スウェーデン文化交流協会の外国人向け夏期スウェーデン語講座初級受講。
2005年 同 夏期スウェーデン語講座中・上級を受講。
2006年〜(財)スウェーデン交流センター スウェーデン語講座講師。 スウェーデンの手工芸をきっかけに横浜、大阪、札幌でスウェーデン語を学習。スウェーデンの絵織り・フレミッシュ織りやマット織りを修行中。


スウェーデン文化を楽しむ:メニュー