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スウェーデンコラム「瑞筆」

第6回 おすすめのデザイン/高津雅子さん

<おすすめのスウェーデンデザイン・手工芸品>

最近は北欧モダンデザインから、伝統手工芸にも日本人の注目が集まるようになり、あちこちで購入できるようになりました。少しだけ今の暮らしに取り入れて、より心地良い家をアレンジしてはいかがでしょうか。
私自身、織りが趣味でテキスタイルが好きなので、そのあたりからご紹介します。

オステルヨートランド羊毛紡績 羊の毛布>
私が大好きな羊毛製品です。 デザインの羊の模様が可愛らしくしかもモダンで目を引きますが、実は重要なのは材料の性質のよさです。良質の原毛を用い繊維の脂分を残した羊毛は、汚れを防ぎ吸湿性があり、
光沢と弾力がある毛布になります。しかも、最初からずっと毛玉が出ません。本物の織り毛布はすばらしい使い心地です。

<ヨブスの手染めテキスタイル>
ダーラナ地方ヴェスタンヴィークにヨブスの手染め工場があります。
自然の植物をモチーフにした美しい色の布が初夏の庭のように咲き誇ります。「おじいさんの庭」という名前の柄にはたくさんの庭の花があり、北海道とかなり共通する植生であることが分ります。
良質な麻、綿麻、綿にプリントした布はパテーション、カーテン、パネル、家具用布などにすると素敵です。バッグに仕立てても良いですね。
他に現代的な柄のテキスタイルでは、ボロース、シーナサンド、フローソーなどがあり、モダンな北欧カフェやインテリアショップで目にすることがあります。

<麻のテーブルクロスやキッチンクロス>
クラスボルスはスウェーデン皇室御用達の高品質のクロスを製造しています。麻布は扱いが難しそうですが、適切に扱えば長く受け継ぐ事ができます。麻はペクチンを含み汚れをはじきます。50度までの湯につけ洗いをすることでしみ汚れが落ち、長く使う事ができます。60度以上の熱は麻の繊維を痛めて毛羽立てるそうです。
スウェーデンのアンティークショップでは手織りの古い麻布に出会うことがあります。スウェーデンの家庭にはマンゲルという麻のクロスをピチッと伸ばす道具があります。熱をかけずに鋏んで伸ばすのです。先日ヘムスロイドの雑誌で面白い記事を発見しました。マンゲル無しに麻を伸ばす方法です。日本の漬物石のようなもので、濡れた麻布をのしていました。これは試す価値があるかも知れないと笑いながら読みました。

<スウェーデンの木工品>
スウェーデンには伝統的スタイル、あるいは現代のシンプルで先鋭的なスタイルの素晴らしい木工家具があります。 木の生活用品も伝統的なもので欲しくなる物がたくさんあります。以前から欲しくて秘かに狙っていたものに曲げわっぱと似たスウェーデンの曲げ木の器があります。昨年の織り講習の友達が、クネッケブレッド入れの直径30cmある蓋付きの器を編み物の毛糸を入れて持ち歩いていました。わたしは日本の展示会で購入して、手芸道具を入れています。小さいものでは、木のバターナイフ、ジャムスプーンなどを日常に取り入れると、なんだか朝食がより美味しくなります。

初めてスウェーデンに行ったときに絶対に買いたい人形がありました。それは木彫りの高さ10センチほどの人形で「グンナーションの人形」というものです。日本の店で見たのが最初ですが、おばあさんの姿にとても惹き付けられました。手彫りで実在の人物のような姿でした。そのときは値段が高くて買えませんでしたが、コスタ・ボーダのガラスと同様にスウェーデンでなら買えるかもしれない・・という希望を持って探しました。店はストックホルム中央のショッピング街の奥のほうにありました。小さな店のショウウィンドウからたくさんの人形と、中で人形を彫っている男性が見えました。店に入ると手を止めて応対してくれました。“上の人形を見てごらん、どんな状況かわかるかな?”
それはアメリカに移民として渡る息子とそれを見送る老いた両親の姿でした。近代的なストックホルムで見る貧しい移民の姿が驚くほど非現実的でしたが、ほんの100年前のことだよ・・というのです。それを今でも人形に彫り、伝えていることが印象的でした。100年前に貧しい国だった事を忘れてはいけない。全ての人が同様に幸せにならなければいけない、すべての国が豊かになるように助けなければならない、民主主義を守っていかなければならない。そのことがスウェーデンの国のあり方に現われているのだとおもいます。

北海道に住んでいると、地元作家の手工芸品で素敵なものに出会うことがあります。スウェーデンの手工芸に通じる自然素材の生かし方、北海道の生活から生まれたデザインを見ることができます。
ガラスは小樽が有名ですが、各地で個人工房の作家さんがそれぞれに素敵なガラスを作っています。
木工では、伝統の旭川工芸家具があり、各地の小さい工房では独自の作品が生まれています。道東の置戸町にはオケクラフトがあり、生活に取り入れたい製品がいろいろあります。オケクラフトの木のスプーンはとても口当たりが良く、流線型で美しく、おしゃれな雑貨店で良く売れているそうです。
わたしがスウェーデン語講師をしていた当別町スウェーデンヒルズのスウェーデン交流センターには、スウェーデンに学んだ作家さんのガラス工房、家具工房があります。
ジンギスカンで有名な北海道には羊牧場がたくさんありますが、肉だけでなく羊の毛を生かそうと、織りに、フェルトに再生させている作家さんがいます。わたしは昨年美深にある牧場にお邪魔して羊毛を分けていただく機会があり、原毛を洗い、梳(す)き、紡ぎ、そしてマットに織りました。こんなことができるのも北海道ならではで、幸せなことです。
あるプロダクトデザイナーの方が言っていました。「北欧の空は色が違う。少し紫が入った青なんだ。北海道もそうだよね。」
リビングの大きな窓を拭きながら「この空は北欧に繋がっているものね・・・」と独り言を言いつつ、今日も次の手仕事の計画に思いをめぐらせています。

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Columnist Profile
高津雅子さん
北海道出身。1957年生まれ。 北海道大学教育学部で発達心理学を専攻。エトワール海渡(株)勤務後結婚。
1993年から横浜朝日カルチャーでスウェーデン語講座を受講する。
1995年 SI(Svenska Institutet):スウェーデン文化交流協会の外国人向け夏期スウェーデン語講座初級受講。
2005年 同 夏期スウェーデン語講座中・上級を受講。
2006年〜(財)スウェーデン交流センター スウェーデン語講座講師。 スウェーデンの手工芸をきっかけに横浜、大阪、札幌でスウェーデン語を学習。スウェーデンの絵織り・フレミッシュ織りやマット織りを修行中。


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